名画でショート002『イザベラとバジルの鉢』(ジョン・ホワイト・アレグザンダー)
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イザベラの表情は、恍惚に満ちていた。
黒いドレスの上に、白いローブを軽く羽織る。ひとさし指は白磁の鉢植えに添えられ、まるで恋人のほほのように優しくなでる。彼女の指が鉢植えに触れるたびに、植えられているバジルが、風もないのにまるで嫌々をするように左右になびく。
使用人が噂している。
「あの鉢植えには、恋人の頭蓋骨が埋まっている。彼女は恋人の頭蓋骨と、指先で会話しているのだ」
噂が事実かどうかはだれも知らない。
ただ、数年前に彼女の恋人が突如として消えたのは事実。その前日に、たまたま恋人が別の女性を肩を並べて歩いていたのの事実。その女性が、バジルのにおいを苦手にしていたのも事実。
ある使用人は別の説を述べる。
「恋人の頭蓋骨が埋まっているのはウソで、本当はその女性の頭蓋骨だ」
なお、その鉢植えは、男女の頭蓋骨を入れても余裕があるほど大きいのも、事実。
黒いドレスの上に、白いローブを軽く羽織る。ひとさし指は白磁の鉢植えに添えられ、まるで恋人のほほのように優しくなでる。彼女の指が鉢植えに触れるたびに、植えられているバジルが、風もないのにまるで嫌々をするように左右になびく。
使用人が噂している。
「あの鉢植えには、恋人の頭蓋骨が埋まっている。彼女は恋人の頭蓋骨と、指先で会話しているのだ」
噂が事実かどうかはだれも知らない。
ただ、数年前に彼女の恋人が突如として消えたのは事実。その前日に、たまたま恋人が別の女性を肩を並べて歩いていたのの事実。その女性が、バジルのにおいを苦手にしていたのも事実。
ある使用人は別の説を述べる。
「恋人の頭蓋骨が埋まっているのはウソで、本当はその女性の頭蓋骨だ」
なお、その鉢植えは、男女の頭蓋骨を入れても余裕があるほど大きいのも、事実。
ファンタジー
公開:24/03/07 08:03
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