雲の上

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大きな泡に包まれ空へと昇る。
周りにも泡が何個か見える。
大きな雲海に着いた。
そこでは子どもたちが楽しそうに遊んでいる。
他の泡が、雲の上に着いた途端パチンと弾けた。
泡の中にいた老人が、少年へと変わった。

その少年が遊びの仲間に加わる。
私も子どもに戻るのだろうか。
まだやりたいことが沢山あるのに。

もう少しで雲の上に着陸、そう思った時、何かが目の前を横切る。
白鷺だ。白鷺が私の泡をつつく。パチンとはじけ、体が急降下しはじめた。

目が覚めると病院のベッドだった。
交通事故で大けがを負ったらしい。

一年前に亡くなった祖母の名は『サギ』。
本当は『サキ』と届けられるはずだったのが、間違って『〝』をつけられた、そう文句を言っていた。
祖母は、文句を言う割にその名を気に入っていたと思う。
生まれ変わったら、白鷺になりたい。
あの気高くて凛とした佇まいが好きだ。
そう言っていた。
その他
公開:24/08/03 15:42
更新:24/08/03 16:28

かのこ

最後まで読んでくださった方、感謝!

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