「霊園」「アサガオ」「冒険の書」
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データを読み込んでローディング画面が終わると僕は霊園に立っていた。柵に区切られた区域にはたくさんの墓石が並んでいる。目の前の青白く光る墓石に触れるとウインドウが開いた。どうやらこれがセーブポイントらしい。昔のゲームらしくオートセーブではないようだ。僕がロードしたのは3番目の冒険の書だ。それで遊んでほしいというのが死んだ友達の残した最後の頼みだった。まさかこんな不気味な霊園だとは思わなかったけど。一つ一つ墓に刻まれた名前を確認していく。単調な作業が続き、それでも調べるのをやめられない。たいていどれかにアイテムが隠されているものだからだ。ゲームに凝り性というよりやめられない性分だというほうが正しい。と、その時墓の一つからアイテムがドロップした。アサガオの種だった。ふたたび墓を調べだすと、その種を墓に植えますか?という選択肢が浮かび上がった。僕はしばし考え、墓の一つにそれを植えた。
その他
公開:24/08/05 02:57
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