「黄昏」「参道」「制服」

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 僕は100段余りの階段を上ると鳥居をくぐり、石畳の参道を歩いた。黄昏時の空はすでに薄暗くなっており、目指す神社は青みを帯びていた。軒にとまったカラスがわびしく鳴き、ひたいから汗が数滴したたった。僕は学校から帰りがけのままの制服姿で賽銭箱の前に立つと、ポケットから小銭を出して投げ入れた。そして手を合わせて祈る。いや、誓うというほうが正しい。願いをかなえてもらおうなどというおこがましい考えはなかった。ただ、誓うのみだ。これから僕がやろうとする行為を、かならずやりとげると神様に誓う。それがいいことかどうかはわからない。彼女のためになるのかすらわからない。ただ僕のエゴなのかすらわからない。自動化してなすべきことをする人形になるという誓いだ。気が付くとひたいの汗も引いている。やることをやった僕は踵を返し歩き出す。鳥居にとまったカラスが鳴いたが、どんな鳴き声なのか僕にはわからなかった。
その他
公開:24/08/05 02:10

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