お気に入りの家電について

僕の娘は小さい頃、お皿やコップを床に落としてはよく割っていた。
プラスチック製のお皿やコップなら割れないからとそっちを渡すも、ガラスや陶器で出来たお皿やコップに拘りがあるようで、何度割っても変えようとしなかった。
割れてしまったお皿やコップ。そのまま捨ててしまうのはもったいないと思い、僕はこの頃から金継ぎを始めた。
工業高校出身だからね。マイ半田ごては持っている。
それを使い、お皿やコップを直していく。
金継ぎのおかげで味のある食器へと早変わり。
そうした食器を、今も食卓に並べている。

「もう！父さん、やめてよね！」
真っ赤な顔で娘は恥ずかしそうに怒る。きょとんとする娘の夫と孫娘。
聞けば孫娘も、娘の小さかった頃同様に家でかなりの数の食器を割っているようだ。
僕は娘の夫に半田ごてを差し出した。
「君も、金継ぎをやってみないか？」
僕はここぞとばかりに娘の夫と話す機会を得ようと動いた。