ふうせん

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ふわっ
視線の片隅を赤い風船が上がっていく
僕はゆっくりとその風船を見上げる
ゆっくり頼りなさそうに風船は風に運ばれてく
ううう…
今度は僕の足下から唸り声のような音が聴こえてくる
空を見上げていた僕は声の方に視線を移した
そこには小さな男の子が舞い上がった風船を目に涙を浮かべて見つめていた
キミの風船?
うん
二人でフワフワと漂う風船を見ながら言葉を交わす
楽しそうだよな 風船
僕は子供に話しかける
きょとんとした表情で僕の事を見上げている少年に
僕だって飛べるなら風に身を任せてふわふわしてたいなって思うもん キミは?
そんなことできるならやりたいに決まってる
だったら風船も今楽しいんじゃないかな
そうかもね
さっきまで泣きそうだった子供もふわふわ風に揺れる風船と同じように体を揺らしている
青い空に風船が吸い込まれて見えなくなるまでどれだけの時間だったろう
僕と少年はずっと風船を見ていた
公開:24/08/02 13:17

icchi

頭の中に浮かんでは消える意味のない想いのようなものを成仏させてあげたくて書いてます

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