泡い通学路

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「いってきます」
玄関を出た私は、『N高校』と行き先を入力したヘルメットを装着。
とたんに泡の膜が全身を包み込む。泡が浮かんで前へ進み泡道レーンへと流れ込む。
通勤通学の時間帯、泡道レーンはシャボン機で溢れている。

途中、レーンの外に弾かれた人達が見えた。
シャボン機同士ぶつかってもケガはしないが、行き先を再設定する必要がある。だから、ぶつかりそうなときは「右」「左」など音声で指示を出す。
くっつくことも稀にある。どちらかの行き先に着いてしまうので、その場合も再設定。

衝撃を感じた。しまった、よそ見していたからだ。
弾かれる!思わず目を閉じる。
「あれ?」
シャボン機がくっついている。
「あっ!」
「よお」
同じクラスの男子だった。

ヘルメットを外そうと手をかけた。
その手を彼が止める。
「このまま行こう、どうせ同じ場所へ行くんだし」

学校までの道のりがいつもより長く感じられた。
青春
公開:24/08/01 16:44
更新:24/08/01 20:18

かのこ

最後まで読んでくださった方、感謝!

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