王様ビール

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あるところに、国民全員ビールが大好きな国がありました。
ただし、その美味しさが良く分からない怠惰な王様一人を除いて。

王様は部下を集めて言いました。
「私に最高に美味しいビールを注いでくれ。」

ある部下は国一番の測量士を連れてきて泡と液体の比を完璧に3:7にしてまで提供しましたが、王様は首を縦に振りません。そんなこんなを繰り返しているうちに、部下全員は疲れ果ててしまいました。ビールサーバーの無いこの国では、ビール一杯注ぐのも一苦労なのです。

「使えない部下どもめ」王様は専用の器具に数十キロあるビール樽をセットし、汗水垂らしながら何とかビールを注ぎます。ジョッキを傾けず初めて注いだビールの泡はごく僅か。しかし、王様は労働を経験した後に飲んだビールの美味しさに生まれて初めての衝撃を受けます。

それからというもの、王様は国一番の働き者となり誰よりもビールを愛するようになりました。
ファンタジー
公開:24/08/03 10:30
更新:24/08/03 10:31

椎名( 東京 )

暇つぶしに書いています。読んでいただき、ありがとうございます。

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