「縁側」「サボテン」「部屋」
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彼女の部屋にはサボテンが飾ってある。サボテンが好きなのとか、いつ買ったのとか、ひょっとして誰かにもらったのとか、聞いても彼女はこたえない。薄く笑みを返すだけだ。僕は疑っている。元カレにもらったものじゃないのかって。
そんなことがあるのだろうか。僕の元カノは、前の彼氏との思い出をすっぱりと捨ててしまう人だった。そういう女性は多いと聞く。だけど。彼女はどうだろう。すでに自分の
一部になってしまった手放したくない思い出とリンクしたアイテムを失いたくない人なのかもしれない。僕がこうやって縁側に寝っ転がるとセミの鳴き声と花火の煙と夕暮れ時の涼しげな風といった夏の思い出がごっちゃになって思い出されるように、彼女はサボテンからどんな思い出やそうでなくとも一瞬の感情をよみがえらせているのだろうか。それを聞いてみたところで。
次の冬にはきっとあげよう、暖房の効いた部屋のアイスクリームのような思い出を。
そんなことがあるのだろうか。僕の元カノは、前の彼氏との思い出をすっぱりと捨ててしまう人だった。そういう女性は多いと聞く。だけど。彼女はどうだろう。すでに自分の
一部になってしまった手放したくない思い出とリンクしたアイテムを失いたくない人なのかもしれない。僕がこうやって縁側に寝っ転がるとセミの鳴き声と花火の煙と夕暮れ時の涼しげな風といった夏の思い出がごっちゃになって思い出されるように、彼女はサボテンからどんな思い出やそうでなくとも一瞬の感情をよみがえらせているのだろうか。それを聞いてみたところで。
次の冬にはきっとあげよう、暖房の効いた部屋のアイスクリームのような思い出を。
その他
公開:24/08/03 04:29
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