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小学校最後の運動会、俺と親友Kは、アンカーとして競うことになっていた。Kは颯爽と走る。そんな彼を追い越そうと、俺は全力疾走した。ゴールテープが目前に見えて、Kがふと振り返った。その顔は俺に微笑んでいるようだった。


記憶はそこで途切れている。結末は覚えていない。


「一体どこに行ったんだろうね。私はもう疲れたよ」


Kの母は墓前に花を供えながら、いつも俺に話しかける。会う度に少しずつ皺が増え、次第に俺の肩に手を添えて歩くようになった。

俺は久しぶりに小学校へ行ってみることにした。校舎はとっくに改築されたが、グラウンドはあの当時のまま存在していた。


すると、周りの木々が風に乗って勢いよく揺れ始めた。暗闇に浮かぶライトの木漏れ日に、うっすらと人影が映る。煌めくステージに合わせて、それは気ままに走り回っているように見えた。

俺に出来ることは、そんな彼に花を手向けることくらいだった。
青春
公開:24/07/30 06:25
更新:24/10/25 00:30

かずま( 関東地域 )

2023/10/19に参戦した新参者です。忌憚のないコメントお待ちしております。

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