ナイショ話

4
3

「ジュース飲みたい!」
「サイダーがいい!」

いつもならそう言われても、おいそれと甘いものは飲ませない。
溶けるような暑さの中でも子どもたちは元気だ。それに振り回された私の方がへばってしまう。

今日は特別。

そう言ってコップに炭酸を注いであげた。キンッと冷えた炭酸は澄み渡り、清々しく喉を駆け抜ける。

「……あれ?どうしたの?」

私が心地よい清涼感に浸っている中、子どもたちは炭酸の注がられたコップに顔を近づけ、じっと見つめている。

「飲まないの?」

不思議に思ってそう聞くと、二人はタタタッと私の下に駆け寄る。そして両脇から内緒話をするように耳元に顔を寄せた。

「あのね、ママ。あわあわ、お話してるの。」
「小さい声で何か話してるよ。」

泡の弾ける音のように密やかに、二人は私の耳元にこっそりと囁く。それがおかしいやらこそばゆいやら、愛おしいやら。
私はぎゅっと二人を抱きしめた。
公開:24/08/01 12:43
更新:24/08/01 12:50
クラフトビールコンテスト ないしょばなし

ぽんず

ぽんずとかねぎとか薬味と調味料。
(たまに作品整理をします。整理したSSはNovelDays等にあります)
http://lit.link/misonegi

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容