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綺羅々と数年ぶりにばったりと会ったのは映画館の前だった。お互い予定もなかったので一緒に映画を観ることにした。映画館では淡々とした人生教訓映画。みているうちに座席で寝てしまった。映画の老人と女優のセリフをBGMに聞きながら眠りに落ちていった。ぱっと照明がついて明るい館内。見回すと観客席には綺羅々と二人きりだった。綺羅々は笑顔でもう遅いから出ましょうと言う。映画館を出た。ネオンのまぶしい街路には人が多く騒々しい。人が大きな声で喋るのを聞くうちにどこかで火事があったらしいとわかった。そういえば煙のような臭いがしないでもない。そのうち目の前にも銀色のユニフォームを着た消防士がうろうろしはじめた。入りたい店は見つからず、騒ぎの雑踏を避けて川原の方にあるくことにした。夜の川原を綺羅々と腕を組んでぽつぽつあるいた。暗い川面にネオンが映っていて、風が生暖かだった。対岸に燃え残りの炎がちらちらとみえた。
その他
公開:24/08/01 09:34
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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