ストーカーたち

俺にはだれにも言えない趣味がある。
それは、１日中だれかの後をつけて回ることだ。
休日の朝は、ターゲットを決めるところから始まる。
駅に隣接した大型商業施設に行き、１０時の開店とともに入店し、手頃な女性を物色。
よし、今日はあの黒髪の若い女にしよう。
まずは一人で服を見て、その後は友達と合流。
ランチは友達とパスタを食べて、その後は映画。
夕方はカフェでお茶をして解散。
その後、３駅となりの駅で降りて、スーパーマーケットによって買い物。
そこから１０分ほど歩いたところにあるマンションに帰宅。
そこまでを、気づかれないように距離を保ちながら、ずっと後をつけていった。
今日も無事に、気づかれることなく１日を終えた。
この高揚感がたまらなく、くせになる。
よし、そろそろ帰ろうかな。
駅へ向かおうとしたとき、一瞬だけ通りの向こうに人が見えた。
あれ……、あいつ、今日何度か見かけたぞ。