桃花色のシャボン玉

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高校近くの公園を通ると黒いシャボン玉が次々と飛んできた。

見ると音楽の先生が、シャボン玉を吹いている。
先生は僕が高校に入学した年に音楽教師として採用された。

僕は先生を好きになっていた。

先生は僕に気付くと「悩み事が多いと黒いシャボン玉になるんだって」と言い苦笑いする。
「吹いてみる?」と虹色の泡のシャボン液が入った瓶と、新しいストローを差し出す。

僕が吹くと桃花色のシャボン玉が、一つ空に飛んで行った。

冬が過ぎ、春を迎えて卒業式も終わり先生は突然、学校を辞めた。
僕は気持ちを伝える為に先生を探し求める。


そして月日は流れ、僕は大学を卒業して教師になった。


今、テーマパークにいる。

パレードが始まり、煌びやかな衣装のダンサーが大勢現れる。

その中に、好きな音楽とダンスを努力して夢を叶えた先生の姿があった。

桃花色のシャボン玉が、二つ並んで大空高く舞い上がった。
ファンタジー
公開:24/07/28 00:12
更新:24/08/11 09:53

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