泡メダル

祖父は昔、世界大会で多くのメダルを獲得していた。
だが、祖父のメダルは全て泡と消えた。
祖父はあろうことかドーピングに手を染めていた。
当時は国ぐるみでのドーピングが横行していた。ドーピングしない選手は大会に出してもらえなかった。
だがドーピングは違法。それもあって大会のメダルは剥奪されると泡になる泡メダルだった。
泡メダルは素晴らしい。石鹸としても使えるので、その腕を磨く為、腕が錆びないようにと使う選手が多かった。
私も使わせてもらった事がある。たった1度の磨きで、今や私はマラソンの強化選手。
そんな思い出のメダルはもう泡となって消えてしまったけど、私が再び泡メダルを取れば問題はない。
私には野望がある。
今も体を鍛えている祖父にマスターズに出てもらおうと思っている。
祖父は無理だと言う。それは泡メダルで体を洗ってみないと分からない事。
私は泡メダルで、祖父の輝きを取り戻そうとしている。