ドアを開けるとヤツがいた

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夕食中にチャイムが鳴る。母が玄関を開け、悲鳴をあげた。玄関へ急ぐと、もうドアの中にヤツは入りこんでいた。人の形をした白い泡。僕は母の手を引き、奥へ逃げる。ヤツはゆっくり廊下をほふく前進する。居間から様子を見ると、ヤツは廊下を行ったり来たりしている。次に居間に侵入して、遠慮なく室内を動き回る。「新型のお掃除ロボットかしら」母が言う。ヤツは階段を上り、二階の二部屋にも入りこんだ。そして階段を降りると、玄関から出て行った。「廊下がピカピカよ」母は何だか嬉しそうだが喜んでいる場合ではない。「何かなくなってないか調べて。警察にも連絡しよう」と言い、家中を確認した。何もなくなってはいなかった。警察には「パトロールを強化します」と言われただけだった。数日後、僕たちはとんでもないことに巻き込まれた。あの出来事がその前兆だなんてあの時は知る由もなかった。実はヤツに大切なものを盗まれていた。家と僕らの情報だ。
ホラー
公開:24/07/25 06:00
更新:24/08/19 10:10

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