木常町(きつねちょう)の嫁入り

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今日の出張は、○○県××市の木常町(きつねちょう)だ。
油あげが特産品らしいから、買って帰るのが楽しみだ。
ぼくはわくわくしながら、車を走らせた。
出張先のビルは、「神社のとなりの建物」と聞いている。
しばらくすると、大きな赤い鳥居が見えた。
よし、もう少しだ。
そのとき、車の目の前に何かが飛び出してきた。
「うわっ!」
急ブレーキをふむと、目の細いおばあさんが、車の前に立っていた。
「こっちは今、通行止めじゃ。……もうすぐ雨が降るから、それが止んだらまた来なさい」
もうすぐ雨が降るって?
雲一つない快晴じゃないか。
「……いいから。じゃまをしたらいかんよ」
じゃまをしたらいかん?
どういうことだ?
おばあさんの勢いに押されて、ぼくは道を引き返した。
5分後、空は晴れているのに、なぜか雨がパラパラと降り出した。
雨が止み、また同じ道をもどるとき、ぼくは幸せそうな新婚夫婦とすれちがった。
ファンタジー
公開:24/07/23 08:18

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