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寝坊した。急いで学校行かなきゃ。「歓太、注意報出てるよ。傘持ってきな」母ちゃんの声。そんな暇ない。俺は走り出した。

ちょうど下校時間に降り始めた。泡注意報が出ていたとおり、空から白い泡が降っている。泡にまみれて帰るかと生徒玄関から外へ出ようとした時「高知くん、傘ないなら入ってく?」ふり向くと天野由依さんがいた。由依さん? えー!俺のマドンナ。「ひとつの傘じゃ狭いから、いい」俺は生徒玄関を飛び出した。泡まみれで一気に家まで走る。後悔していた。本当は心臓が飛び出るくらい嬉しくて舞いあがってた。俺は大馬鹿だ。
 
「歓太、シャワー浴びて泡だらけの服、着替えて」母ちゃんに言われた。ボディーソープで体を洗いながら泣きたい気持ちだった。このまま由依さんと気まずくなるのは嫌だ。「じゃあ、明日あやまりなよ」そうだ、そうしよう。ん? 浴室の床に落ちたボディーソープの泡の塊が、にやにやしながら俺を見ていた。
青春
公開:24/07/21 14:16
更新:24/08/04 14:07

ジャスミンティー

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