シャボン売りのおじさん

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「シャボン玉はいかがですか」
シャボン売りのおじさんが街角に立っている。

間違って飲んだら大変。
目に入ったら大変。
過保護な親が増え、シャボン玉は売れなくなった。

あたりが暗くなってきた。
「あーあ、こんな売れ残って、あいつに叱られるな」
おじさんはシャボン玉を膨らませた。
目を吊り上げた妻の顔がシャボン玉に映り、パチンと弾けた。
「今日はもう店じまいだ」
おじさんは家路についた。

「どうしましょう、洗濯洗剤がない。泥んこの体操着が洗えない」
ある家の前を通ると、困り顔の女性がいた。
「良かったら、これ使ってください」
少しでも役に立つかも。売れ残ったシャボン液を渡した。

その後、おじさんのシャボン液はよく泡立ち、汚れがとても落ちると大評判になった。
洗濯機に入れたシャボン液が、シャボン玉となって空に飛んでいく。

おじさんが、その光景を見て満足そうに微笑んでいる。
その他
公開:24/07/21 07:13
更新:24/07/21 08:11

かのこ

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