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儚さの中に美しさがある。

華々しく散りゆく中にある美しさ。
淡い夢が弾ける様な儚さ。

でも、それを美しいと思う心は消える事はない。

「……綺麗。」
「そうだな。」

それは織姫と彦星の様に僅かな静寂の中、身を寄せる。

その手のひらの上にある小さな珠。

それは泡の様に丸く。
花火の様に虹色に輝く。

「私もあなたも儚く散りゆくものなのに、不思議ね。」
「たとえ散りゆく身でも想いまでは消えない。誰にもその想いまでは消す事はできない。」

寄り添う二人が顔を見合わせ、微笑み合う。

「この子には儚く消えて欲しくなかったの。何度でも生まれはすれど消えゆく様な、儚いものであって欲しくなかったの。」
「知ってる。俺も君に似て綺麗で、でも消える事のない運命を歩んで欲しかったんだ。」

二人の手がそっとその小さな珠たちを送り出す。
コロンと転がったビー玉は、弾ける事なくカチンと小さく音を立てた。
公開:24/07/20 20:31
更新:24/07/20 20:32
クラフトビールコンテスト 花火 ビー玉

ぽんず

ぽんずとかねぎとか薬味と調味料。
(たまに作品整理をします。整理したSSはNovelDays等にあります)
http://lit.link/misonegi

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