風鈴

ちりーん　ちりちり〜ん　涼し気な音色が夏を彩る
透き通るようなその音色は人々に涼を与えてくれる
近所で行われている小さなお祭り
たくさんの色とりどりの風鈴が飾られ夜風に競い合うかのように音色を奏でている
頭上から降り注ぐたくさんの賑やかな音色を小さい子供が母親に手を繋がれ見上げていた
重なり合う風鈴の奏でる音色は派手に賑やかにさながら打ち上げ花火だ
僕はたくさんの風鈴の賑やかな音色の中から一つだけの音色を取り出した
この光景を自分の中に閉じ込めていられるような気がして
ただ一つの風鈴の奏でる音色はたくさんの風鈴達とは対照的に僕の中に染み入ってくる
沢山の風鈴が打ち上げ花火なら一つの風鈴は線香花火だった
どちらも花火でありどちらも美しい事に変わりはなかった
風に吹かれて澄み渡る僕だけに奏でられる風鈴の音色
それはさも賑やかな夏祭りの光景のほんの一部分だけを抜き出したかのように感じた