喫茶店の相席
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カララン。
「いらっしゃいませ」
ちょうど良い狭さの喫茶店内にマスターの声が響く。先日、なんとなく入ったその店の雰囲気が気に入り、今日も来てしまった。ところが、
「すいません、混んでおりまして…相席でも良いですか?」
マスターが指すテーブル席を見ると、一人の青年がスマホに目を落としている。私は承諾し、向かいに座ってコーヒーを注文した。
しばらくして運ばれてきたコーヒーに、砂糖を何杯も足していく。
ふと、視線に気づき、顔を上げると、青年がくすり…と笑った。
「まるで『アイ・ロボット』のウイルスミスみたいですね」
「おかしいでしょうか?」
「いいえ」
かわいいです、その一言と青年の表情が、私の胸にクリップボードで留められたみたいに離れなくなった。
あれから何度、喫茶店を訪れても、彼には会えなかった。
今日ももうすぐ店が閉まる。もう行こう。
カララン。
「あ」
「あ…」
「いらっしゃいませ」
ちょうど良い狭さの喫茶店内にマスターの声が響く。先日、なんとなく入ったその店の雰囲気が気に入り、今日も来てしまった。ところが、
「すいません、混んでおりまして…相席でも良いですか?」
マスターが指すテーブル席を見ると、一人の青年がスマホに目を落としている。私は承諾し、向かいに座ってコーヒーを注文した。
しばらくして運ばれてきたコーヒーに、砂糖を何杯も足していく。
ふと、視線に気づき、顔を上げると、青年がくすり…と笑った。
「まるで『アイ・ロボット』のウイルスミスみたいですね」
「おかしいでしょうか?」
「いいえ」
かわいいです、その一言と青年の表情が、私の胸にクリップボードで留められたみたいに離れなくなった。
あれから何度、喫茶店を訪れても、彼には会えなかった。
今日ももうすぐ店が閉まる。もう行こう。
カララン。
「あ」
「あ…」
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公開:24/07/20 17:00
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