白と碧と赤の想い出

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 5月のパタヤの海辺は暑かった。そこに作られた芝生の上の白いバージンロード、家族だけたった8人の結婚式だった。娘は満面の笑みで白い道を母と歩き、残り半分を父と一緒に歩き花婿に引き継がれた。青い海と白い砂浜の中で、司祭からの誓いの言葉は英語でまったく判らない。

 「きっとお祝いの言葉を言ってくれているのだろう」と、父は心の中で思いながら司祭の言葉を聞いていた。タイの結婚儀式なのか、2人で白い砂を器に注いでいた。「小さな幸せが集まって大きな幸せになるようにかな。」と自分勝手な解釈で心の中で呟いていた。

 5歳の孫が花束贈呈。「僕、歩くの早かった?」と盛んに自分の歩みを気にしている。暑い日差しで顔は真っ赤に染まった。こんな幸せが永遠にきますようにと心の中で祈った。遠い国での「白」「碧」のコントラスト、海に沈む夕日と異国の海辺にはじける「赤い泡」がいつまでも胸に残った。
その他
公開:24/07/22 14:02
更新:24/08/04 20:25

源 匠( 茨城県日立市 )

ショートショート大好き黄金の神泡修行者です。究極のテイストを求めて日々精進しています。「黄金の水」「神泡」にかんぱ~い。人類の発明に Cheers!!

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