ふわ ぱちっん

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シャボン玉は昔からの憧れだった。光があればどこでもキラキラ光るし、ふわふわと飛んでは途中でパチンと弾ける。たまに、ふわふわ浮きながら地面に向かって落ちていくのもいる。小さなストローから色んなシャボン玉が生まれる様子は、まるで神様になった気分だ。きっと、こうしてアダムに命の息吹きを与えたんだろうな、なんて。今では一人で公園にいることは不審がられる時代だし、ベランダでシャボン玉も冗談じゃない。上下左右の隣人からクレームが来る可能性がある。だからこうして、こっそりとお風呂に入っている時間にシャボン玉を吹く。百円玉一つで買ったシャボン液をストローに浸けて、ふーっ。泡風呂の中で神様気分だ。本当は、昔みたいに公園で遊びたいんだけどね、シャボン玉で。気の置けない友人とは共有しにくい、密かな夜の楽しみ。恋人がいれば、なんて。そんな簡単な話じゃない。色んな好みに分かれる世の中、また私はシャボン玉を吹いた。
その他
公開:24/07/21 19:17

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