名画でショート022『アトロポス』(フランシスコ・デ・ゴヤ)

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女神たちは年老いていた。
人間たちの運命を見渡すのに疲れ、老人たちの寿命を切り落とす行為に心を病み、それでも人間を地上に送り続けなければいけない無限ループに、気力を失っていた。
人間を消してしまえば楽になる。大地を闇で覆ってしまえば、全ては死に絶え、人間たちを見守る必要もなくなる。生命の火をを全て吹きとばせば、女神としての責務から解放される。
それでも、気が付いたら人間たちを生産しては地上に送り込み、彼らの運命を見定めて、適切な位置で寿命を切り続けている。
いつか人間たちは女神の能力を超えて活動を拡大するようになり、地球は病み、大地は黒ずみ、空は灰色に覆われるようになった。
それでも女神は仕事を続けなければならない。
女神の寿命が尽きる、人類最後の日までは。
その他
公開:24/07/18 23:24

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