不協和音株式会社

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「志望動機を教えてもらえますか?」

面接官の声に彼は答えた。

「御社の社名と社風に感銘を受けました。私は昔から浮いてしまう人間で、ある時「お前がいると全体の和が乱れる!」と言われました。私が何が悪いのか尋ねると「ズレてるから耳障りだし目障り!」と言われました。」
「ほう?」
「ズレた存在がいる事で全体に不和が生まれる。不協和音になる。私は自分に嫌気がさしました。しかし御社の社名そしてその不快さを強みとする経営理念に深く感銘を受け、救われました。私も自分のズレを活かし、御社に貢献したいと考え志望致しました。」

面接官は履歴書に目を落とす。だいぶ苦労してきたようだ。

「ズレを具体的に言いますと?」
「自分ではわかりません。」
「なるほど?ところで今日の服装は?」
「クールビズです!」

満面の笑みで答える彼の服装はポロシャツ短パン。面接官は小さく唸った。

中々、いい感じにズレてると。
公開:24/07/18 21:20

ぽんず

ぽんずとかねぎとか薬味と調味料。
(整理したSSはNovelDays等にあります)
http://lit.link/misonegi

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