発明

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「ついに完成したぞ!」彼は喜んだ。
「その機械は?」彼女は彼に尋ねる。
「これは水だけで泡立つものならビールでもサイダーでも、シャンプーさえ作れる機械だ」彼は誇らしげに説明する。
「それはとても素晴らしい発明ね」彼女は彼の発明を称えた。
「そうだろう? これがあればどこに行っても生活に困らないな」
「水があれば、ね」胸を張る彼に、彼女は冷たく言い放った。
「水なんてどこにでもあるだろう?」
「そうね。現に、私たちの足元には地球に存在する淡水のおよそ7割が存在しているわ。氷河としてね」見渡す限りどこまでも続く氷の世界、ここは地球の果て南極だ。
「これだけ氷があるなら水なんて簡単に手に入る」
「その水を手に入れるために汲み上げるポンプも、氷を溶かすための加熱する器具も全部あなたが発明したその機械に使ってしまったのよ? だから今の私たちには水がないの」
「……」
「せっかくの発明も全て水の泡ね」
ファンタジー
公開:24/07/18 08:17

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