ガーデンウェディング

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お呼ばれした会場は、森の入り口でした。

木の間に色とりどりのガーランドや電球が取り付けられ、テーブルに並ぶお料理は手作りで、地のもので丁寧に作られていました。乾杯に山葡萄のお酒をいただき、それはそれは美味でした。

お二人が立つ誓いの場はそこだけ丸く、地面にレンガが敷かれていました。木漏れ日がきらきらと輝いて、なんて素晴らしい晴れの日だろうと思いました。

指輪の交換の時にそれは起こりました。
1人があっと声を上げ、見る間に皆の視線が集まりました。

レンガの隙間から、スミレが伸びてきて、花を咲かせたのです。たちまち隙間という隙間は、愛らしい紫色でいっぱいになりました。お二人は、顔を見合わせて笑っていました。

後ろにはステッキを振る花の精が見え、私はやれやれ先を越されたと思いながら、胸のブローチを投げました。

辺りは一瞬で夜になり、星の光が降る中、お二人は正式に夫婦となられました。
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公開:24/07/14 23:16
更新:24/07/14 23:19
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