足を延ばす

僕は今日、野球部の練習をサボった。
ここのところ絶不調でチームに迷惑をかけている僕…そんな引け目からか、気が付けば降りる駅を過ぎてしまっていた。
次の駅で降りればまだ間に合う。そう思うも、僕の足は重かった。
さらに乗り過ごし、見知らぬ土地に降りる僕。重かった足がやっと動いてくれた。
汽車で引き返したほうが楽なのは分かっている。だけど僕はここから歩いて帰る事にした。
折角足を延ばしたんだ。見知らぬ土地を堪能したくなった。
僕の住む街からそう遠く離れていない場所。なのに旅行に来たみたくワクワクする。
あれだけ重かった足が軽い。１時間以上歩いても疲れを感じない。
それなのに帰宅し、布団に入るといつも以上にぐっすりと眠れた。
翌日は野球部の練習に参加した。
するとこれまでの絶不調が嘘のように絶好調へと変わっていた。
「昨日、羽を伸ばした甲斐があったな」と監督。
僕が延ばしたのは足だが、まあいいか。