魔性と言えば……

魔性と言えばカレーだ。

意義は認めない。あれほど魔性の食べ物がこの世に存在するとは思えない。
暑い日、カレーだろう。寒い日、カレーだろう。カレーうどんにしてもいい。朝カレーはスパイスが全身を刺激して脳にいいと言うし、昼時にサクッと食べるカレーもいい。家に帰ってドアを開けた時、カレーの匂いがしたらもう、胃袋は歓喜に踊り狂う。

スパイスの効いたインドカレー、ココナッツミルクの甘さが癖になるタイカレー。でも王道はやはり日本のとろみのあるカレーだ。

カレーは油ものが合う。インドカレーが引くほどバターを入れるのも納得だ。コロッケにカツ、そして素揚げした夏野菜。ナスやオクラ、素揚げして後から飾れば彩りだっていい。白ご飯にとろりとしたカレー。そこに彩り鮮やかな夏野菜の素揚げが飾られれば、もうそれはごちそう以外の何者でもない。

隣の家から漂うカレーの匂いを嗅ぎながら、私はその魔性の力に魅了された。