空のペットボトル

『空のペットボトルありがとな。お前のおかげで畑の野菜も元気に育っとるぞ』
電話口から聞こえる、祖父の嬉しそうな声に僕も嬉しくなってくる。
今年の梅雨、雨があまりにも長引くものだから、空（そら）のペットボトルを雨雲で満たした。
運動会の時にでもこれを使おうと思っていたが、ニュースで祖父の住んでいる地方が水不足だと聞き、雨雲で満たしたペットボトルを全部送った。
稲の育成に必要だろうと友人から貰った雷雲で満たされた空のペットボトルも送った。
雷雲の入ったペットボトルはそのまま送ると危ないので、ちゃんと缶に詰め直して送った。
何が危ないって、雷は爆発しやすい。
実際、雷雲の入った空のペットボトルを爆発させた友人は、マンガでよくある爆発に巻き込まれた人みたくアフロになっていた。雷様みたいで笑った。
それにしても今年の夏は暑い。
だから僕は冬が来たら雪雲を空のペットボトルに満たしておこうと考えている。