夏空を舞え、泡将棋!

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縦横に伸びる白雲の群れ、煌めく夏空へ展開されしは泡将棋盤。
夏雲に座して向かい合う泡沫の君と陽炎の君。両者がふぅと吹き棒を吹けば、泡駒たちが一斉に夏空の盤面へ駆け出す!いざ、決戦の始まり、始まり。

「泡兵、前へ」

先手の陽炎の君が扇の風で泡兵をそよと送り出す。

「銀泡や、斜め前へ」

今度は泡沫の君が白銀に輝く泡を扇ぎ送り出す。馬形の泡馬、香り高き香泡車…君たちの扇の風で盤面を乱舞する泡駒たちのいと泡れなること。
戦況は次第に陽炎の君、劣勢に。焦る心が扇を狂わせ、思わぬ場所へ風が泡駒を誘い出す。巧みな扇捌きも泡将棋では勝敗の決め手。

「泡手」

泡沫の君の一言に陽炎の君が「参りました」と答えれば、泡玉将から弾ける泡駒。これぞまさに泡沫夢幻。泡から雨へと早変わり、地上へざぁと降り注ぐ。

こういう訳でございますから、夏空に白雲の盤面を見つけた際は、折りたたみ傘の携帯をお忘れなきよう。
ファンタジー
公開:24/07/16 18:12
更新:24/09/01 10:29
駒の泡はだいたい「ほう」と読む 泡沫(うたかた)って綺麗な響き いと泡れ(あはれ) 趣深い泡駒乱舞

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

 

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