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帰省すると妹がコーンポタージュを作っていた。近所からホワイトコーンをもらった、という。皿の中の白濁したスープと、小粒なホワイトコーンを見ていて、俺はスンチャーのことを思い出した。
「スンチャーって覚えてるか?」
「え? ああ、あの歯を買ってくれた人でしょ」
スンチャーは裸足にサンダル、青いジャージにグンゼのランニングで、いつも背高泡立草だらけの畑にいた。
「酒臭くて、珍味臭くて」
「歯くれないかい? って」
「種だって言ってたよ。畑に埋めたからおしっこしろって」
「したした。結構ヤバかったね」
ああ。と俺は曖昧に頷いた。
好きだった同級生が歯を売った夜、俺は彼女の歯を盗みに行った。だが、スンチャーは夜通し畑の畝を巡り、何かを間引いていて、歯を盗むチャンスはなかった。
しかしスンチャーは、歯を植えた畑から何を間引いていたのだろう。ホワイトコーンとか?
猛烈な吐き気が俺を襲った。
「スンチャーって覚えてるか?」
「え? ああ、あの歯を買ってくれた人でしょ」
スンチャーは裸足にサンダル、青いジャージにグンゼのランニングで、いつも背高泡立草だらけの畑にいた。
「酒臭くて、珍味臭くて」
「歯くれないかい? って」
「種だって言ってたよ。畑に埋めたからおしっこしろって」
「したした。結構ヤバかったね」
ああ。と俺は曖昧に頷いた。
好きだった同級生が歯を売った夜、俺は彼女の歯を盗みに行った。だが、スンチャーは夜通し畑の畝を巡り、何かを間引いていて、歯を盗むチャンスはなかった。
しかしスンチャーは、歯を植えた畑から何を間引いていたのだろう。ホワイトコーンとか?
猛烈な吐き気が俺を襲った。
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公開:24/07/10 22:38
シリーズ「の男」
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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