名画でショート021『トランプ詐欺師』(ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ)

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愚かな少年は、まるで中性のような顔だちをしていた。
少年は熱心に手元のカードを見つめる。目元はすっきりとし、まつ毛は長く整っており、ピンク色のほほには染みひとつない。
人生に影などひとつもない。そう信じているかのようだ。
観客人を装った仲間が、指二本で詐欺師に合図を送る。
しかし、詐欺師は少年に見とれてしまい、その合図を見落とした。ただ、詐欺師はいつもの習慣で、背中に手を回し隠し持ったトランプに手を添える。
仲間の合図は出てこない。合図は一度だけ。それがこのコンビのルールだからだ。
だから、詐欺師が手にしたカードが、吉か凶かは分からない。
だれが騙して、だれが騙されているのかも、もしかしたら分からない。
その他
公開:24/07/10 14:19

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