海外貧乏旅行

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海外一人旅が好きだった。昭和だった。東欧某国では列車が止まって動かず車内で一夜を過ごした。向かいの席は日本人女性で彼女も一人旅。何でもないことを話すうち夜が明けた。列車が着いた駅で降りる。小さなレストランに空腹のぼくたちは入った。朝から賑わうレストランのメニューには価格がない。ウエイターは「我が国は共産主義国家で食事は全部無料。何でもどうぞ」とか。腹一杯食べていると店内でバイオリンを弾いていた紳士がぼくたちのテーブルにきて「私は市長。ごゆっくりと」列車に一晩閉じ込められたと話すと「それはお疲れ。上の階のホテルでお休みください。市のサービスで」とウエイターが案内してくれた。ドアが開くと清潔そうな部屋にベッドが一つ。彼女がもじもじと入るのをためらっていると市長がやってきて「革命が起こりました。ここは占拠されます。すぐ出てください」で、ぼくたちは追い出された。気がついた?彼女が今のカミさんだよ。
その他
公開:24/07/12 10:12

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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