新婚さんフライ・ハイ！

「新婚さんフライ・ハイ！　司会の如月十九です。今日の新婚さんは、すみれさんご夫妻です」
「よろしくお願いします」
「すみれさんは、つい先日結婚したばかりということですが、今日はお一人で」
「ええ、夫は洗濯のあと買い物へ」
「ああ、すでにそういう感じなんですね。それでは、今回はお一人ということで早速まいりましょう」
「はい」
「現在飛行機は高度４０００ｍです。準備はいいですか？　新婚さん、フライ・ハイ！」
「ラ・パンセ・ソバージュ！」
すみれは飛んだ。なんだかわからない掛け声とともに飛んだ。地平線が曲線を描いていた。

「すみれさん、パラシュート引いて！」
一緒に飛び降りた司会者の声に、すみれは首を横に振る。
「……見えた！」
すみれはそう言うと、右手を伸ばし垂直姿勢に入った。

――私が……！

だんだんと近づいてくる大地。

――私がこの地球の……！

そこには、仁徳天皇陵があった。