長編

「ショートショートの中の恋愛って、出会いだけだとか、プロポーズだけだとか、一シーンだけって多いよね」
「まあ、長い期間を駆け足で書くより、短くても掘り下げた方がいいんじゃない」
「こういう瞬間とか？」
　婚姻届を二人で持って、提出した。
「婚姻届受理証明書、ご当地デザインでください」
「はい、おめでとうございます」
　窓口の人が祝福してくれる。受理証明書の中ではゆるキャラも祝福してくれている。
　これで結婚したことになったなんて、不思議だ。
「晩ご飯、どこかで食べて帰る？」
「何か美味しいものを買って帰らない？　シャンパンも」
「うん、いいね」
「そうして二人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ」
「おとぎ話だとそれで終わりだけど」
「でも、終わりじゃないからね」
「うん、私たちの第一章が終わり」
「さあ、第二章の始まりだ」
　手をつないで歩き出した。