織姫妖怪

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 天の川のほとりで彦星を想い、毎日毎日恋焦がれて暮らしていた織姫。想いが募り過ぎて恋心が「念」で包まれ体を支配されてしまい、織姫妖怪へと変化してしまった。

 織姫妖怪は想いを伝え続けるため「念」を彦星に対し送り続けた。二十四時間切れ間なく送り続けられる「念」によって彦星は体調を崩し始めた。幻覚を見るようになり、まともに歩くことさえ出来なくなり、最終的には眠ることもできなくなった。

 今年も七夕の日がやってきた。織姫妖怪にとっては待ち望んだ日だ。ところが、当日になっても彦星は現れない。代わりに使いのものからの伝言が届いた。

「彦星様は、誰かの呪いにかかり一週間寝込んだ挙句、黄泉の国へと旅立たれました」

 織姫妖怪は、自分が念を送り続けたことが原因だと悟り、一人で涙を流し反省した。しかし妖怪となった体は、知らず知らずのうちに次のステージを目指し始めていた。

「早く、人間になりたい」
ファンタジー
公開:24/07/10 05:00

松浦照葉( 福岡県 )

IT業界を卒業し、小説執筆中です。
普段はnoteでショートショートを投稿しながら、AmazonとAppleと楽天で小説、実用書の電子書籍を販売中です。
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