魔法にかかった魔女の話

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小さな手が野すみれを差し出してくる。
こんな小さな花も、この小さな手にかかれば花束になってしまうのだから驚くより他ない。

「僕が大きくなったら、結婚してください。」
「じゃあ私が大きくなったら、弟子にしてください。」

「……どれだけ時が過ぎようと、あたしゃ結婚もしないし弟子もとらないよ。」

その瞬間、ぷにぷにと柔らかそうな笑顔が崩れ、大雨を降らせる。

「どうして?!」
「何で?!」

「何でも糞もない。あたしゃ魔女で、お前らは人間だからさ。」

そう、だから二人が大きくなっても私は変わらないだろう。

それが魔法を使う者の代償。

「……だから言ったじゃないか。」

幼い兄妹。昔話のように食べてしまえばよかったんだ。そうしたら永遠に一緒にいられた。もう少し大きくしてみようと思ったが最後だ。

すみれの花が咲く頃。
思い出の中、笑顔の二人が帰ってくる。

それが人が唯一使える魔法だ。
ファンタジー
公開:24/07/06 11:10
更新:24/07/07 02:29
SSGすみれ祭り 魔女集会で会いましょう

ぽんず

ぽんずとかねぎとか薬味と調味料。
(たまに作品整理をします。整理したSSはNovelDays等にあります)
http://lit.link/misonegi

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