ショート落語「はっぴいうえぢんぐ」

3
7

時は明治。なにやら父と娘が揉めておりまして……

「ならん!」
「なぜです?」
「よいか、すみれ。わが家は源氏の血を引く武士の家系ぞ……祝言は神社で白無垢と決まっておろうが!」
「憧れなのです!幼い頃に書物で見た西洋の花嫁のドレス姿が艶やかで……私がお嫁に行く時は、ぜひ着てみたいと」
「ぬぅ……いくら文明開化とはいえ、西洋の白装束など……」
「もちろん父上にもバージンロードを一緒に歩いてもらいます」
「なんじゃ、老人ばぁどとは……妖怪か?」

こんな調子で父は不満げでしたが、かわいい娘の頼み、最後は折れて西洋式の祝言を挙げることになりました。

「娘のうえぢんぐどれす姿もなかなかよいのう……おい、すみれは花束を投げて一体何をしておるのじゃ?」
「あれはブーケトスといって、花束を掴んだ者が次に祝言を挙げるという言い伝えがございます」

「ふむ、こうして繋がっていくのじゃな……ぶうけも武家も」
その他
公開:24/07/05 05:00
更新:24/07/05 08:45
SSGすみれ祭り ご結婚おめでとうございます

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

株式会社ベルモニー Presents ショートショートコンテスト 入選 「とんでかえる」

隕石家族×ショートショートガーデンコラボ 小惑星賞 「詠み人家族」

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容