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ーガタ…ガタガタ…
乱暴に雨戸を叩く雨風の音。台風の夜は心細くなるものだ。

「怖いよぅ…」

一緒の布団で眠っていた息子が激しい音で目を覚まして私の胸に顔をうずめてきたので、安心させるようにぎゅっと抱きしめながら言った。

「風鈴さんに助けてもらおうか」

「…風鈴さん?」

電気をつけ、今年はまだ出していなかったシンプルな空色の風鈴を室内の窓際に吊るしてお願いする。

「皆が心地よく眠れるような優しい風に吹きかえて…」

ーリーン…リーン…

そよ風が吹いた時のような音色を風鈴が奏で始めると、外でゴウゴウと騒いでいた風が風鈴の音色に似合う柔らかな夜風へと変わっていく。風を音色にあった吹き方に変えてくれる吹きかえ風鈴。幼い頃に私が台風を怖がった夜も、母が今の私と同じようにしてくれたものだ。

ーリーン…リーン…

静まった風に安心した私達は、穏やかな風鈴の子守唄で優しく寝かしつけられた。
ファンタジー
公開:24/07/05 01:07
更新:24/07/05 01:25
毎日暑いから、少しでも 涼やかな心持ちで眠れるといいね

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

 

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