秒辛スナック

―チクタクチクタク…
ひっぱり開けか、パーティー開けか。
開け方で迷う私を急かすように、袋の中から秒辛スナックの時を刻む音がする。物語でよく見る「時限爆弾の赤いコードと青いコード、どっちを切る！？」とは違い、単なるスナック菓子の開封なので焦る必要はないが、規則正しい秒針の音には追い詰められるような何かを抱きがちだ。
一気に食べることはできないかもと判断した私がひっぱり開けで開封すると、真っ赤な秒針型のスナックが袋の中で時計回りに各々キビキビ動いている。…ものすごく辛そう。スナック菓子「時計の辛」シリーズの辛さレベルは、短辛、長辛、秒辛の三つ。針の動く速さが早い程辛いので、秒辛が一番辛い。既に短辛、長辛を制覇していた私は、秒辛もいけそうだと思ったのだが…。
しばし躊躇った後、秒辛スナックの音にまた急かされて「えぇい！」と勢いよく齧れば、チクチクと唇を刻むような刺激が忙しなく回り始めた。