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アイスランドに住む友人から、国際クール便で北極みやげが届いた。
マイナス50℃の超冷凍ケースに入っていたのは、ドライアイスに包まれたドロップ飴だった。
『珍しい白夜のオーロラです。お茶菓子にどうぞ』
ドライアイスに見えた塊は、白夜の空だったのか。虹色の宝石の様な欠片をとくと眺める。確かに貴重で美しいものだが、いかんせん寒過ぎる。
冷気を噴き出す白夜を一旦居間に隔離し、防寒着を取りに行った。
冬物のコートを羽織り、キッチンでホットミルクを沸かし、凍傷防止の鍋つかみをはめて居間へ。摂氏30℃の室温にうっすら汗ばみつつドアを開ける。
凍った白夜は夏の暑さで蒸発し、高原の避暑地の様な涼しさに落ち着いていた。
固体だったオーロラも溶けてしまったらしい。ケースの底に残る滴をカップに落とし、真珠色に光るホットミルクを飲んだ。
やれ惜しい事をした。ふぅと溜め息し、
――天井を見上げて、息を飲んだ。
マイナス50℃の超冷凍ケースに入っていたのは、ドライアイスに包まれたドロップ飴だった。
『珍しい白夜のオーロラです。お茶菓子にどうぞ』
ドライアイスに見えた塊は、白夜の空だったのか。虹色の宝石の様な欠片をとくと眺める。確かに貴重で美しいものだが、いかんせん寒過ぎる。
冷気を噴き出す白夜を一旦居間に隔離し、防寒着を取りに行った。
冬物のコートを羽織り、キッチンでホットミルクを沸かし、凍傷防止の鍋つかみをはめて居間へ。摂氏30℃の室温にうっすら汗ばみつつドアを開ける。
凍った白夜は夏の暑さで蒸発し、高原の避暑地の様な涼しさに落ち着いていた。
固体だったオーロラも溶けてしまったらしい。ケースの底に残る滴をカップに落とし、真珠色に光るホットミルクを飲んだ。
やれ惜しい事をした。ふぅと溜め息し、
――天井を見上げて、息を飲んだ。
ファンタジー
公開:24/06/29 23:35
SSGお菓子パーティー
※通常、日の沈まない白夜に
オーロラは観測できません。
創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞
いつも本当にありがとうございます!
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