雨のフライ

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「揚げ物をしているみたい」と、彼女は言った。

凄まじい雨だった。
地面に激しく打ちつける
綺麗に泡立つ雨だった。

屋根から溢れ落ちる雨水が、地面にピチピチと音を立てて、それはコロモをカラリと揚げる音そのものだった。

エビフライかな。

強い風が吹いて、雨がじゅわーっと窓に打ちつけた。網戸の網目のいくつかに雨水が留まって、それからパチパチと弾け、また強い風に雨がじゅわわと窓を打った。

コロッケかしら。




ピチピチ、じゅわー、ぱちぱち。
油のはねる音に、僕は思わず冷蔵庫を開けた。

「わたしも。」と、彼女は言った。

沸き立つ油は窓の外。

僕と彼女は、
家の中でビールをコップに注いで
綺麗に泡立て飲んで過ごした。



しばらくして、
雨は、カラッとあがった。
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公開:24/06/30 22:29
更新:24/07/01 15:49

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