名画でショート019『子供の遊戯』(ピーテル・ブリューゲル)

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子供は遊びの天才だ。画家は子供たちが遊ぶ姿を、ひたすらカンバスに落とし続けた。
人形遊び、風船遊び、水鉄砲、ブランコ、虫取り、ビー玉、竹馬、レスリング。描いても描いても、題材は勝手に向こう側からやってくる。
同時代のフランドルの詩に「人類はバカげた遊びに夢中になっている子供と同じだ」というものがある。
しかし、と画家は考える。むしろ逆ではないのとか。
バカげた遊びこそ人生だ。バカげた遊びこそ人間だ。王侯貴族はバカげた遊びである戦争を繰り返し、勝った負けたを繰り返し、村人たちから税金を盗んでいく。教会たちはミサだ祈りだととバカげた遊びのため、信者から税金や寄進を奪い取り、豪勢な教会を建築していく。
画家だって、絵を残すというバカげた遊びに真剣に向き合う。
全ては遊びなのだ。
そう考えたところで、何の救いにもならないが。
その他
公開:24/06/27 19:50

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