団子団地

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団地に住んでいるクウヤの家へ遊びに行くと、待ちかねていたかのように電話が鳴った。近所に住んでいる通称ミタラシさんが、おやつを持ってきてくれると言う。

楽しみにしながらゲームをしていたら、タンポポの綿毛に似た髪型のおばあさんが、出来立てのみたらし団子を作って持ってきてくれた。そこらのスーパーで買ったものの比じゃなく、むちゃくちゃ美味くて、俺たちは奪い合うようにしてむさぼり食った。

別の日には通称ゴマさんが、また別の日には、通称ズンダさんや通称カラミさんが出来立ての団子を分けてくれたこともあった。みんな気のいいおばあさんで、聞けばいろんなことを教えてくれた。ゲームよりずっと勉強になった。

あれから二十年。クウヤは団子屋を開き、俺は建築士になった。将来はみんなで子育てできる団地のような住宅街をつくるのが夢だ。
その他
公開:24/06/27 10:24

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。

清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選

ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)

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