ドラ焼き、レファ焼き、ミドド焼き

口の中で上品な甘さの粒餡符が絶妙なハーモニーを奏でる。
近所の和菓子屋の自慢は、餡子の音符【餡符】を使った粒餡符焼きだ。好きな音を組み合わせることができて、スタンダードなドとラを使ったドラ焼きや、蜜柑のような酸味のミとどっしりとした安定感の甘さなドを多めに使ったミドド焼きなんていうのもある。私が今食べているのはソラ焼き。口の中でソーダの泡みたいに弾けるソとランタンが空へ昇っていくように軽やかな味わいのラを組み合わせたソラ焼きが、今すぐ青空へ歌い出しくなる程に私は大好きだ！歯の鍵盤で粒餡符たちが咀嚼されるたび、ソラソラソララ…みたいな音を奏でるのも楽しくて、皆で集まり粒餡符焼きを食べれば、たちまち粒餡符合唱団の完成だ！

ソラ焼き、シファ焼き…と一気に食べ進め、一口お茶をすすってから次のソミド焼きに手を伸ばそうとしてはっとする。四分急須で淹れた渋すぎるお茶が、私の食欲へ休符を出したのだ。