ポメラニアン警察〜梅雨に入る〜

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私はポメラニアン警察だ。

今日はペットサロンに来ている。
くたびれた毛並みはふんわりとして、警官としての威厳を取り戻していた。

足取り軽く帰ろうとすると、小学生の女の子が傘をさしながら歩いてくる。
できたてふわふわが、いや、この威厳が失われる前に帰ろうと急ぐと、女の子の一人が「きゃっ」と声を上げた。
私の目が今にも転びそうな瞬間を捉えた。
倒れ込みそうな体がスローに見える。その前には水たまり。
咄嗟に女の子の方へ駆け出した。
「う、う、わ、わ、わ、ん、ん、、、、!」
倒れそうなるぎりぎりで彼女の体にぶつかる。
なんとか水たまりに落ちるのを回避した。
しかし弾き出された目の前には、轟々と水が流れる側溝。
気づけば私はずぶ濡れになっていた。

この後、飼い主にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。

まあいい、これで幼い命が救われたのだ。
私はポメラニアン警察、今日も市民の安全を守るのだ。
ファンタジー
公開:24/06/23 18:13

空飛びペンギン( 関東 )

ご覧いただきありがとうございます。

俳優業の傍ら、趣味でショートショートを製作しています。
田丸先生の書籍を読んでから、楽しく作っております。
ご意見、ご感想いただけると嬉しいです。


名作文学の朗読Youtubeを行っています。
http://www.youtube.com/@akky_roudoku

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