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近所に住んでいるユミコが亡くなった。事故だった。自宅で行われた通夜は豪雨になり、参列者のほとんどが足早に立ち去ってしまった。するとふいにユミコの妹――アイに呼び止められた。アイは沈痛な面持ちで言った。
「お姉ちゃんは呪われて亡くなったの。わたしが忌み地へ行ったとき、『ユミコ』って名乗ったから……」
私は目を見張り、アイを人目のない場所へ促した。
「その話、誰かにした?」
アイは静かに首を横に振る。そこで私は真の姿を垣間見せることにした。紫色のウロコに覆われた右手を差し出すと、アイは見る間に青ざめ、唇を震わせた。
「と、土地神様……」
「お前は自分の命を惜しみ、姉を供え物にしたな。その罪は人間の寿命を遥かに越え、償うがいい」
呪詛の言葉をささやくと、アイはたちまち赤黒い蛇に変身し、岩陰に身を潜めた。あとは怨霊と化したユミコの魂を安らかに送らなくてはならない。
「お姉ちゃんは呪われて亡くなったの。わたしが忌み地へ行ったとき、『ユミコ』って名乗ったから……」
私は目を見張り、アイを人目のない場所へ促した。
「その話、誰かにした?」
アイは静かに首を横に振る。そこで私は真の姿を垣間見せることにした。紫色のウロコに覆われた右手を差し出すと、アイは見る間に青ざめ、唇を震わせた。
「と、土地神様……」
「お前は自分の命を惜しみ、姉を供え物にしたな。その罪は人間の寿命を遥かに越え、償うがいい」
呪詛の言葉をささやくと、アイはたちまち赤黒い蛇に変身し、岩陰に身を潜めた。あとは怨霊と化したユミコの魂を安らかに送らなくてはならない。
ホラー
公開:24/06/23 10:43
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)
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