ベランダでの出来事

自宅のベランダから夜空を見上げる。雲一つなく、満天の星空には大きな満月。
「今日は死ぬのにいい日だ」と呟く。
私は先日、呪いのビデオを見てしまった。噂が本当なら今日、私は死ぬ。
それなのに私ときたらこの落ち着きよう。噂を信じていないわけではない。
実際、私のスマホを見ると髪の長い女の幽霊がこちらに向かって歩を進めている。
私は、画面の中から迫りくる女の幽霊に夜空を見せた。
女の幽霊は画面から出てくると、私の右隣で夜空を見上げる。
ピコン！と、スマホに新たな通知が入った。
『私、メリーさん。今、貴方の横で夜空を見上げているの』
左隣に視線を向けると、瀟洒な人形が包丁片手に夜空を見上げていた。
私も視線を夜空へと戻す。

暫くすると二人はいなくなっていた。
どうやら私は、今夜を生き延びる事が出来たようだ。
「次の満月も、良ければご一緒しませんか？」
スマホに向け、自然と口からそんな言葉が出た。